思い出を語る母親
32歳に女性の柩の中に入っているので、化粧をしてあげて欲しいと連絡がありました。
「死亡診断書を見ると車中において練炭自殺した」
と書いてあります。
死亡場所は、岐阜県の山中から病院に運ばれたが、残念ながら息は無かったそうです。
自宅には、父親が一人。
「葬儀社から来ました、準備をさせていただきます」
遺体を拝見すると、髪が長く綺麗な顔をしている。少し赤みかかっていたがほとんど問題はない。
棺布団の下には、雑に浴衣が着せてあった。
父親に「奥さんはどうしたのですか?」と訪ねると、
「歯医者に行ってます」
約束の時間に母親がいないと対処方法がわからない!
三十分ほど待つと、母親が帰ってきた。
「何か、柩に入れるものはありますか?」
すると、故人の着ていた衣服を沢山用意されました。
「どれを入れますか」
「この赤いジャンバーがよく着ていたので、これをお願いします」
収縮するジャンバーだったので、
「これを着せましょうか」
「できれば、お願いします」
柩に中で、遺体を傾けて着せてあげました。
父親と母親は、すごく喜んでいただいた。
それから、故人に化粧を入念に化粧水、乳液、下地と施し本人が使っていたファンデーション、チック、口紅、ヘアーオイルを使わせていただき仕上げさせていただきました。
最後に二人でカーネーションを中心に切り花を入れていただきました。
最後まで、母親は娘の思い出を話しながら、化粧を見ていました。


