冠のマナーと作法-成人式

成人式

成人式は、いわゆる「冠婚葬祭」の「冠」にあらる「元服加冠」の儀式が始まりで、現代では満二十歳の成年を祝して行なわれています。生まれてから死ぬまでの人生における通過儀礼になっています。

社会的にも法律的にも独立

現代の法律では、満二十歳に達すると成人と認められ、親権からの独立、政治への参与が許されます。結婚の自由、選挙権を与えられ、法律的な権利を受けると同時に、義務を負うことになります。喫煙、飲酒も許されます。
昭和二十三年に祝日として一月十五日が「成人の日」と制定され、この日までに満二十歳を迎えた男女のために、地方自治体や企業が中心となり記念式典、祝賀会、様々な祝賀行事が行なわれるようになりました。平成十二年より一月の第二月曜日が「成人の日」として祝日となっています。

男は「元服」、女は「初笄(ういこうがい)」

現代の「成人式」の原型は「元服」です。七世紀、天武天皇の時代に、十三歳から十六歳の間で心身ともに成育した男子に対して、結髪加冠の制が規定されたのが始まりで、かなり古い時代から行なわれた風習です。
奈良時代からは、宮中や公家、のちには武家の男性が、十五歳になると成人と認められ、童髪をおとなの髪に結い直して、公家は冠を、武家では烏帽子をかぶり、おとなの装束をまとって成人の儀が行なわれました。これが「元服」であり、「首服」「加冠」「初冠(ういこうびり)」「初元結(はつもとゆい)」「烏帽子祝」などとも呼ばれました。記録によると七歳の例もあります。
十六世紀頃、天下統一から江戸時代の初期にかけて、武家や一般庶民では烏帽子を止めて、月代(さかやき)をそり、前髪をを落とすようになったので、「前髪落(まえがみおとし)」「額直(ひたいなおし)」「中剃(なかそり)」「剃出(そりだし)」などと呼ばれました。
女子では、奈良から平安時代にかけて、十二歳から十六歳までの間、垂れ髪を結って笄という髪飾りをさして、女性の正装である裳(も)をつけて成人を祝い、「髪上(かみあげ)」「「初笄(ういこうがい)」「裳着(もぎ)」などと呼ばれました。平安時代から成人女性の髪型、笄の風習はすたれ、「鬢除(びんそぎ)」が成人の印となりました。女子が十六歳になると鬢、つまり頭の側面の髪の先をそぐ儀式を行ないました。「「鬢除」の祝いの夜、月に供えた饅頭に穴をあけ、この穴を通じて月を見る風習ががあり、「月見」とも呼ばれました。

成人式の服装

女性の場合、最近は振袖が慣例化して、華美を競い合い、まるでファッションショーのようになって、批判の声もあがっています。地方自治体主体の「成人式」には、ある程度と整った平常着で出席する若者も増加しました。
どうしても晴れ着にしたいのであれば、振袖もいいですが、色無地か訪問着を新調したいもので。今後、卒業の謝恩会、結婚披露宴、パーティー、茶会など、着る機会も多く、応用がききます。
もちろんレンタルを利用してもかまいません。
洋装ならばフォーマルドレスにします。
男性の場合は、羽織、袴の若者もいますが、ダークスーツが無難でしょう。

ビールやワインで祝杯

現在では「成人式」は地方自治体や企業の公的祝賀会という印象があります。本来は一族、一家の身内の祝い事なので、わが子の成人を両親が祝うのが本来の姿です。
家庭で赤飯、尾頭つきの祝い膳を囲み、成人の証しとしてビール、清酒、ウイスキー、ワインなどで祝杯をあげます。
ホームパーティー形式で、特に親しい人を招いて行ないます。
また、レストランやホテルのダイニングルームを予約してわが子とともに食事をし、成人として必要なマナーテーブルの実地訓練をかねてディナーで祝う方法もあります。

お祝いの品々

「成人式」で着る女性の晴れ着、男性のスーツは、親が贈りますが、最近は合理的に考えて、ことに女性の晴れ着は高価な割りには利用度が少ないことからレンタルを利用することが増えてきました。そんな場合、フォーマルな席で着られるワンピースかスーツを贈ります。
親戚やごく親しい人からのお祝いは、おとなの装いを念願において贈り物をします。もちろん、本人の希望を聞いた上で、本人の趣味に合ったものを贈るように心がけます。
女性には、晴れ着を着る場合は、それに必要な履き物、小物類も喜ばれます。
ハンドバック、ネックレス、イヤリング、ブレスレットなどのアクセサリー類、スカーフ、香水などが一般的です。
男性には、ネクタイ、バック類、ワイシャツ、腕時計、靴、ワインなどから選びといいでしょう。

◇表書きは「祝成人」

お祝いの品には、のしをつけ、紅白蝶結びの水引をかけて、「祝成人」または、「成人御祝」「成人式御祝」などと表書きします。

必ず本人がお礼の挨拶を

お祝いをもらった場合、お返しの必要はありませんが、本人が必ず礼状を書くか、口頭でお礼の挨拶を述べるようにします。先方に謝意を伝えるのがマナーです。お礼の挨拶は親に頼らず、必ず本人がするのが成人となった義務と考えましょう。
また、お祝いをもらった相手の家族に成人式を迎える人が出ましたら、本人が先輩としてできる範囲でお祝いをするように心がけます。
相手からのお祝いの品が高価で、同程度のお祝いをするのが負担な場合は、親に相談してするようにします。成人のお祝いは、しばしば本人よりも家と家のあいだで行なわれるケースもあり、本人の手に負えないこともあるからです。