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【 挙式前の準備 】

 婚約が整ったら、いよいよ挙式、披露宴の運びとなります。そのために、媒酌人の依頼や世話役との打ち合わせ、挙式の日取りや式場選び、招待状の発送、婚礼衣装の手配、引出物選び、新居の荷造り等々、やるべきことがたくさんあります。なるべく早く取りかかる必要があります。余裕をみて、親と相談しながら、慎重にしかも確実に準備を進めましょう。


媒酌人の依頼

 縁談の仲介者がいる場合、結納から仲人として依頼し、挙式の際も媒酌人をつとめてもらうのが自然ですが、縁談の仲介者が事情があって媒酌人を辞退するケースのあります。また恋愛結婚だと仲介者はいません。そんなとき、世間並みの結婚式をあげようとすれば、あらためて媒酌人を依頼する必要が生じます。いわゆる「雇われ仲人」のケースがこれにあたります。そんな場合の人選は、一般には会社の上司、学生時代の恩師、先輩など、人生経験が豊富で信頼のある人物になりますが、親の意向が強く反映して、結婚式の格を上げるつもりで社会的地位や肩書きの高い人に、文字通り形式的な媒酌人を依頼するケースもありましょう。

 いずれにせよ、依頼するには、あらかじめ先方の意向を確かめて内諾を得てから、当事者二人が揃って訪問して依頼するのが原則です。両家の両親か一方が付き添うのが望ましいでしょう。もちろん日取り、式場など具体的に決める前に依頼するのが礼儀です。先方が親の知り合いで、当事者が知らない場合は、必ず両家の親が依頼します。この場合も、自己紹介の意味で当事者二人も同行するべきでしょう。

 媒酌人を引き受けたら、挙式の日取り、式場等、具体的に決まり次第、その都度媒酌人に報告します。

●媒酌人の心得
 媒酌人を引き受けて、もし当事者二人が相談に来ましたら、快く応じる心構えを持ち、当事者は事前に都合を尋ねてから会いに来ますが自分の都合はできるだけやりくりして、折にふれて相談相手になるようにします。一般的には、日取り、式の形式、式場などは当事者が決めて事後報告の形をとることが多いようです。その場合はさしでがましく口をはさむことはありませんが、相談されたら、自分の経験からアドバイスをしてあげるといいでしょう。

 媒酌人として当然、祝儀を出しますが、結婚が家単位だった昔は、両家それぞれに祝儀を届けるしきたりでしたが、現在では、家よりも個人の結婚という色彩が強くなり、新郎新婦に祝儀を出すようになりました。

 品物で祝う場合は、ざっくばらんに希望を聞いてください。それに見合う現金を贈ることも多くなり、金額には配慮が必要で、あまりはりこむのが考えものです。というのは、挙式後に媒酌人への謝礼が贈られるが、その金額は一般に結納金の一割に媒酌人からのお祝い分が加算されるのがしきたりなので、かえって気をつかわせることになるからです。

 なお、謝礼は妙に辞退せずに、気持ちよく受け取るのがマナーです。


世話役の依頼(司会者、受付係、その他)

 めでたい披露宴をつつがなく進行するためには、多くに人々の支えが必要です。世話役の依頼も大切な仕事で、ことに司会者、受付係、会計係の人選は慎重にしたいものです。

 披露宴の雰囲気を華やかで明るく盛り上げるには、司会者の人選がポイントになります。新郎の友人から撰ぶことが多く、まず明るくて誠実で礼儀正しいことが第一条件です。機転がきいて話上手ならなおいいでしょう。といってあまり才気走って軽薄に流れるようでもこまります。その点を考慮して人選することです。最近ではプロに依頼するケースもありますが身近な適任者をみつけるのが一番いいでしょう。

 受付係は、会場の入口で最初に招待客に接するのですから、招待客の第一印象をよくも悪くするのも、受付係の人選にかかります。やはり友人や同僚の中から、礼儀正しくて爽やかな人物を選びましょう。両家から同人数を選ぶのが原則です。

 会計係も両家から一人ずつ選び、招待客の祝い金を扱いますのでお金の取り扱いに几帳面な親族を選びます。

 カメラ係も、日頃カメラになじんでいる友人、同僚に頼みます。ビデオ係も頼んでもいいですが、式場によってはビデオ撮影をしてくれるところもあります。また配車係が必要な場合もあります。これらの世話役は、近親者や友人、同僚に依頼すればいいでしょう。


日取りと式場の決め方

 いよいよ、挙式となると、日取りはいつにするか、形式は神前、仏前、人前、あるいは会員制にするか、家庭結婚式にするか、式場は何処にするかを決めなければなりません。

●仏滅とはめでたい日!?
 日取りを決めるのに、大安吉日にこだわる人が多いようで、そして仏滅は嫌だという人も少なくありません。
 大安とか仏滅とかは、暦日上の吉凶にかかわる六曜または六曜日という俗信に基づいています。

 先勝(せんしょう) 午前が吉で午後が凶の日
急用や訴訟などに用いて吉の日。但し午後は凶。

 友引(ともびき) 正午だけが凶であとは吉の日
この日は正午のみ凶。朝夕は祝い事に用いて吉。

 先負(せんぷ) 午前が凶で午後が吉の日
この日は諸事控え目に静観がよい。午後は大吉。

 仏滅(ぶつめつ) 終日凶の日
この日は何事をするのも忌み慎むほうがよい日。

 大安(たいあん) 終日吉の日
この日は陰陽道で何事をするのにも上吉の日。

 赤口(しゃっこう) 正午だけ吉であとは凶の日
新規事開始その他何事をなすのも忌むべき日。



 六つの曜日で、この名称の順序で一定の規則に従って毎月繰り変えされます。

 上のような時刻の吉凶が次第に忘れられ、先勝は急用、訴訟に幸運の日、友引は葬式を行なうと他人の死を誘う日、先負は急用、公事を忌む日、仏滅は万事万端に不吉な悪日、大安は万事に吉という日、赤口は万事に凶の日という迷信が生まれ、そこから結婚は大安吉日に行ない、仏滅を避けるようになりました。友引は、慶事なら他人の慶事を誘うだろうという都合のよい解釈から、大安に準じて結婚式によい日と言われるようになりました。

 この六曜は、本来古代中国の五行説に基づく陰陽道(おんようどう)から生まれた時刻の吉凶占いで、十四世紀に日本に伝わったときには、現在の六曜のうち大安と赤口だけしかなく、悪日は空亡(くうぼう)と呼ばれていました。仏滅はありませんでした。わが国で六曜が今の名称で今の順序になったのは、享保年間(1716〜36)以後です。一般に広まったのは天保年間(1830〜44)のことです。仏滅は日本の発明で、使われるようになった歴史もごく新しく、百数十年しかたっていません。しかも、「物滅」という記録が残っていて仏教には関係がなく、仏滅の根拠はありません。

 それに仏滅の本来の意味も誤解され気味です。仏滅というと、仏様が入滅した縁起の悪い日と思われがちですが、本当は仏の涅槃のことです。「減」というのは煩悩を減して苦海を渡ることで、解脱ともいわれます。つまり悟りの境地で仏様が解脱されることですから縁起が悪いどころか、めでたい日といってもいいでしょう。

 しかし、仏滅のほうは空いているから式もゆっくりできるし、サービスも良くなります。
 大安などにこだわるよりも、現実的に媒酌人や招待客が出席しやすい日を選ぶほうがいいでしょう。つまり、土曜、日曜、祝祭日にするのが常識的な考え方です。また、式、披露宴の後、新婚旅行と続く場合はなおのこと、女性の生理期間にぶつからないように逆算して日取りを決めるといいでしょう。

 出席者の都合を考えれば、暑い盛りの真夏、年末年始、ゴールデンウィークは避けて、なお農家が多い場合は農繁期を外すのがエチケットです。
 結婚シーズンといわれる三月から五月まで、十月から十一月までの期間はどの式場も混みますから、早めに手配しるようにします。

 婚礼の時間は、昔「婚」が「昏」とも書かれたことでもわかるように、たぞがれどきか夜に行なわれましたが、鎌倉時代以後、武家の婚礼を中心に華やかになり、人目にふれる昼間に行なわれることが多くなりました。現在では、式や披露宴の出席者の都合やハネムーンとの関係を考えて昼間に行なわれるようになりました。

 式場選びは、結婚式場の形式や披露宴の規模が前提になります。形式を神前結婚式にするか仏前結婚式にするか、教会式にするか人前結婚式にするのか、あるいは家庭で挙式するのかによって、式場は神社、寺院、教会、家庭と変わってきます。会員制のケースもあり、ホテルも利用されることもあります。結婚式場と披露宴をセットにした総合結婚式場も利用が多いようです。最近では、レストランウェディングも流行してしています。

 形式が決まったら、出席者の人数、予算を考慮して、ホテル、結婚式場、公共施設を選びます。条件としては、場所の環境はよいか、設備はどうか、サービスは行き届いているか、従業員の接客態度はどうかがポイントになります。交通の便も大事で、駅からの距離が遠すぎないか、駐車場の有無もチェックしておきます。実際に足を運んで自分の目で確かめておくと安心です。式場と披露宴が別の場合は、あまり離れていないほうがいいでしょう。

 実際に決める際に、新郎側と新婦側の希望や意見が合わない場合もあります。そんな場合は婚礼が女性の最大のイベントであることを配慮して、新婦側の希望や意見を優先してあげるほうがいいでしょう。


予算の見積りと分担

 結婚のための予算は、行事費、新生活準備費、雑費の三つに分けて、しっかりと立てたいものです。

 行事費 挙式、披露宴、新婚旅行のための費用
 新生活準備費 新居、家具、生活用品のための費用
 雑費 媒酌人への謝礼、様々な協力者への祝儀などの費用。雑費は行事費の一割


 このうち、まず行事費、ことに挙式、披露宴のための予算を立てなければなりません。挙式、披露宴の予算は、豪華主義でいくか実質本位の経済主義でいくか、規模をどの程度にするかで違ってきます。どうするかは当事者二人で相談するのが原則ですが、両家の親の意向が入る場合も少なくありません。あらかじめきっちりと話し合って、しっかりと予算を立てます。

 挙式、披露宴の予算の目安は、招待客一人当たりの費用が基本になります。それに人数分を掛け合わせた金額です。一人当たりの費用は、公共施設の場合が割安で、一般式場、ホテルでは大ざっぱにいって公共施設の五十パーセント増から二倍はかかるとみていいでしょう。例えば公共施設で一人当たり二万円とすると、一般式場、ホテルでは三万円から四万円です。もちろん上を見ればきりがありません。

  費用は、昔は家単位で嫁入りが考えられていましたので、挙式、披露宴は新郎側の家で新郎側の負担で行なわれ、新婦側は招かれる立場で祝儀を持参しましたが、当事者主義の現在は、双方が平等に負担するようになりました。両家の経済状態が極端に違うなど、特殊な事情がある場合はともかく、一般には、挙式料、室料等、双方に共通する費用は折半して、飲食費、引出物等の費用は、双方それぞれ招待した人数分を頭割りで負担します。地方によっては、総費用の六割を新郎側、四割を新婦側が負担する習慣もあります。
 いずれにせよ、金銭的トラブルが起きないように事前に率直に話し合っておきましょう。


引出物は「お返し」ではない

 引出物というのは、昔庭先に馬を引き出して客に見せ、その馬を土産として客に贈ったことから生まれた言葉で、客をもてなしたときに出す贈り物のことです。公家では馬だけではなく鷹や犬も添え、のちには酒一献のもてなしごとに一品贈るようになったといいます。武家では、特に元服や婿入りの際に五献には太刀、弓と征矢(そや)、甲冑(かっちゅう)、鞍置馬(くらおきうま)、銭の五種、七献には馬、太刀、鎧(よろい)または腹巻、弓と征矢、沓(くつ)または行縢(むかばき)、刀、小袖の七種という規準でした。この風習が、今日の招宴には引出物を添えるという形で伝わっています。

 つまり引出物はあくまでも祝宴の主催者が招待客に贈る土産であり、お祝いを受けたお返しではありません。お祝いの金額によって贈る品を変えるということはなく、特別扱いせずに、接待客全員に同じ引出物を出せばいいのです。原則としては、人数にかかわらず一家に一品でいいのです。

 引出物の金額は、飲食料金の三分の一というのが目安で、紅白または金銀の結び切りの水引をかけ「寿」と表書きをして、新郎新婦自筆の礼状を添えると真心が伝わります。

 引出物の品は、正装した招待客に持ち帰ってもらい、かさばる物、重い物はできるだけ小さい物を心がけます。

 結婚式場には、数多くの見本が用意されていますから、その中から撰んでも独自に個性的な物、印象的な物を用意してもいいでしょう。具体的には、陶器、ガラス食器、スプーン・セット、民芸品などがよく用いられます。自分では買わないがあると楽しくて便利な品。多少重複しても気分転換に使える品という視点で選ぶといいでしょう。普段はお金をかけない日常的で身近な小物を一点豪華主義で撰ぶのもおもしろいでしょう。


結婚指輪の用意

 結婚指輪の歴史は古い。ローマ時代には認印指輪として用いられ、家財の権利は結婚指輪をはめた妻にあると確認する意味があり、時には指輪に小さな鍵が付けられました。古くは飾りのない鉄の指輪でしたが、二世紀頃に金の指輪に変わったといわれています。十一世紀頃に指輪がキリスト教の祈祷儀礼と結びついて、教会で結婚式に指輪を交換する儀式が行なわれるようになりました。

 宗教にあまりこだわらない国では、宗教に関係なく神前結婚式でも結婚指輪の交換が行なわれています。

 結婚指輪は、一般に金にプラチナの継ぎ目なしのかまぼこ型か平打型で、肌身離さずつけるこが多いから、表面が無地のシンプルな型が好まれています。最近では、ダイヤモンドや誕生石を飾った派手なデザインのものが撰ばれることもあります。リングの内側に挙式年月日と二人のイニシャルを入れます。

 最近は指輪も華美に走る傾向がありますが、高価なものにする必要はありません。無理のない範囲で心をこめて選ぶほうが大切です。一応、月給の三ヶ月分が目安になっているようですがこだわることはありません。

 新郎新婦がそれぞれ贈り合うこともありますが、新郎が新婦に贈るだけのケースも少なくありません。

 結婚指輪は、左手薬指にはめられます。薬指は古くからユダヤ人から神聖な指とみなされ、ギリシャ時代には薬指に流れる血は直接心臓に繋がっていると信じられていました。婚約指輪をすでに左手薬指にはめているときは、挙式前に右手薬指に移しておいて、結婚式の指輪の交換で結婚指輪を左手薬指にはめたあと、婚約指輪も同じ指に移します。