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【 臨終〜納棺(仏式の場合) 】 | ||
| 日本の葬儀の約九割は仏式で行なわれていますが、宗派によって、また地方によって多少の差異があります。順序が前後したり、行なわれなかったり、菩提寺やしきたりに詳しい年寄りに相談しながら行います。 | ||
臨終の作法 | ||
| 「臨終」とは「命の終わりに臨む」ことで、人の死に際を意味しています。「臨終」は人の一生の最期という重要な最終段階であり、昔からさまざま作法が行なわれてきました。 | ||
| ●末期の水 | ||
| 医師が「ご臨終です。ご準備を」と宣告されましたら、家族など、その場に居合わせた人が、「末期の水」を臨終の人の口に含ませます。「死に水をとる」とも言います。もう一度元気になってほしいという願いと、死後の世界で喉の渇きのために苦しまないようにという祈りをこめた旅立つひとへのはなむけの作法です。 茶碗か小皿に清水を入れて、真新しい筆の穂先か新しい箸の先端に脱脂綿かガーゼを白い糸でしばりつけたものに水を含ませて、臨終の人の唇を軽くなでるようにしてうるおしてあげます。 順番は、血縁の濃い順で、居合わせた親友など近親者以外の人が全員、死に水をとります。 | ||
| ●湯灌(遺体浄め) | ||
| 死亡が確認されましたら、瞼を下ろして閉じ、口が開いていましたら下あごを持ち上げるようにして閉じます。安らかな死に顔になるよう気を配ります。 死亡が確認されましたから火葬までは、二十四時間以上遺体を安置しておきます。その間の最初の作業が「湯灌」と呼ばれる遺体浄めです。「湯灌」と言いますが、現在は、アルコールで全身を拭いて浄めます。病院でしたら看護師、自宅なら葬儀社の係がやってくれますが、遺族は任せきりにせ少し手伝いたいものです。 遺体をそのままにしておきますと、鼻、耳、口、肛門等の開口部から汚れ物が出てきますので脱脂綿を詰めます。ことに喉はしっかりと詰めます。 | ||
| ●死化粧 | ||
| 故人を美しく見せたいと願って、遺族がほどこすのが死化粧です。 男性なら、ひげを剃って髪を整えてあげます。死亡しましたら、肌が乾燥しますのでひげは伸びたように感じます。 女性や子供は、髪を整え、口紅、頬紅などで薄化粧してあげます。 長患いでやつれているときは、口の中にふくみ綿を入れて、ふっくらと見せます。 故人の髪や爪を残すつもりでしたら、この際に心がけます。 ただし、地方によっては、かみそりをあてたり化粧することを忌み嫌うところもあります。 | ||
| ●死装束 | ||
| 死化粧をほどこしてあと、昔は死装束をしました。死出の旅に出る身支度です。ただし、宗派によっては、着せませんでした。 死装束は、経帷子を左前に着せます。昔はこれを親族の女性が集まって縫い上げました。返し針、玉結びをぜず、広袖、対たけの白木綿の着物で、白木綿の帯を締めました。頭布をつけ、白の手甲、脚絆を巻き、白足袋にわらじをはき、胸に頭陀袋を下げ、三途の川の渡し賃の六紋銭を持ち、杖をつくというのが、死出の旅姿です。 しかし、最近では、故人が生前愛用していた衣服や浴衣、あるいは白無垢、紋服を着せることが多くなりました。着付けは左前、足袋はこはぜを取って左右逆にはかせるのがしきたりです。 地方によっては、布団の上から紋服、愛用の服を上下逆さにかけるとこもあります。 | ||
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| ●北枕・西枕 | ||
| 遺体は納棺まで布団やベッドに寝かせて安置します。正式には新しい敷布団、薄くて軽い掛布団をそれぞれ一枚づつ用います。掛布団は上下逆さに掛けます。 古い布団を用いたときでも、シーツ、カバーは清潔なものを用意します。 頭を北に向ける、いわゆる「北枕」に安置するのがしきたりです。これは、釈尊が入滅の際に「頭北面西」に横臥していたことに基づいています。スペースの関係で「北枕」が無理なら「西枕」でもよいとされるのも、顔を西に向けてていた涅槃象によります。 顔に白い布をかけ、両手を胸のあたりで軽く組ませて数珠を持たせます。 また「守り刀」を布団の上の胸のあたりに置きます。短刀が正式ですが、小刀、かみそり、はさみを用いても構いません。最近は、葬儀社では袋入りの短い木刀を使っています。必ず刃側を足の方に向けて置きます。「守り刀」は、死者に取りつく悪霊を防ぐ魔除けの意味があります。 なお、「守り刀」を枕元に置くこともあり、納棺のあとで棺の上に置かれることもあります。 | ||
| ●枕飾り | ||
| 遺体の頭の方に供える「枕飾り」は、宗派によって多少の違いがありますが、一般的には、小机に白い布をかけてしつらえた焼香卓に、一本しきみ(仏前草である「しきみ」を一本、または白菊の花を一輪さした花立て)、一本線香(線香を一本立てた香炉)、一本ろうそく(ろうそくを一本立てた蜀台)、鈴(仏壇の鈴)、それに供物として一膳飯(枕飯として、故人が愛用していた茶碗にご飯をてんこもりにして、故人愛用の箸一膳を真ん中に突き立てる)、枕団子(上新粉の団子を白木の三方に乗せる)、それに水(湯飲みかコップに一杯)を飾ります。枕団子の数は、六個か七個、あるいは十三個か十四個です。 白い腰屏風か、普通の屏風を逆さにした逆屏風を枕元に置くことがあります。 「枕飾り」として必要なものは葬儀社が用意してくれますが、遺族は、ろうそくの火を絶やさないように気をつけます。 | ||
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納棺の儀式 | ||
| 枕飾りが整いましたら、僧侶に来ていただき、納棺までの儀式を行なっていただきます。 | ||
| ●伽僧の枕経 | ||
| 昔は、菩提寺から派遣されました僧が、死者の枕元で終夜、読経するしきたりがありました。その僧を「伽僧」と言います。死者の追善のために終夜、読経することを「枕経」と呼びました。今では、夜に限らず、死者の枕元で読経することを「枕経」となりました。「枕勤め」とも言います。 故人を仏の御座に送るための読経ですから、喪主をはじめ遺族、近親者は、僧侶の後ろで読経を聴きながら、故人の冥福を祈ります。 | ||
| ●戒名・法名・法号 | ||
| 「枕経」のあと、仏名がつけられます。仏名は、置くの宗教で「戒名」と呼んでいますが、浄土真宗では「法名」、日蓮宗では「法号」と呼びます。 仏名は、本来、生前に帰依した者に与えられるものですが、仏教では人が死ねば皆、仏の弟子になるという考えから、死者に仏名が与えられるようになりました。そして社会的地位、檀家への貢献度、謝礼の多寡によって格付けが生れているのが現状です。 いつのまにか位階の上下が生まれて、位階が高ければ謝礼も高くなり、「院殿」と「大居士」をつければ何百万円もかかるという奇妙な傾向が生れ、宗派によっては仏名の格付けを嫌う寺院もありますが、一般的には、仏名をつけてもらう人がほとんどです。 仏名についての考え方は人さまざまですが、仏名をつけてもらうには、予算を考慮しながら、菩提寺の住職に相談してみることです。 | ||
| ●納棺の作法 | ||
| 棺には座棺と寝棺がありますが、現在はほとんど寝棺が用いられています。 正式には僧侶の「納棺経」が進むうちに納棺されますが、最近は「納棺経」は省略することもあります。 納棺の行なわれる時期、方法は宗派、地方によってさまざまで、地方によっては通夜の直前までそのまま安置するところもあります。 一般的には、白い薄い布団か、白木綿を敷いて、その上に遺体を納めます。手順は葬儀社が指導してくれます。 葬儀社は、遺体を納めると、経帷子一式の死装束を入れて、胸元に仏名を墨書きした奉書をのせて、遺体のまわりを白菊の花や故人が愛した花で飾ります。 このとき、故人が生前愛用していた小物を入れてあげます。ただし、火葬の際、燃え残りそうな勤続製品、陶磁器類は避けます。 夏期や暑さが続くようなとき、あるいは葬儀まで日があるときには、ドライアイスを多く入れます。 納棺が終りましたら、柩の上に金襴を掛けます。納棺しても釘打ちはしないで、祭壇に安置します。柩は祭壇の上段に安置するのが、正式ですが、最近は下段に安置することが多いようです。 |







