演出家の久世光彦さんが死去
人気ドラマ「時間ですよ」「寺内貫太郎一家」などの演出や作家としても活躍した久世光彦(くぜ・てるひこ)さんが06年3月2日午前7時32分、虚血性心不全のため東京都世田谷区の自宅で亡くなった。70歳だった。1日までは普段通りに仕事をしていたが、この日朝、家族が自宅で倒れているのを発見した。
急死だった。久世さんは1日まで元気に仕事をしていた。2月22日には「寺内貫太郎一家」のDVD発売イベントに出席。1日も、来週から撮影が始まる予定の新ドラマの関係者と夕方から午後8時ごろまで食事しながら打ち合わせを行った。その後、帰宅したが、関係者は「普段と変わらず元気な様子でした」という。
しかし、翌2日朝、夫人の朋子さん(48)が自宅内で倒れている久世さんを発見した。救急車で近くの昭和大学病院に運ばれたが、すでに亡くなっていた。久世さんは酒は飲まないが、ヘビースモーカーだった。軽い糖尿病を患い、数年前には副交感神経関係の手術を受けたが、ほかに大きな病気はなかった。
ドラマのヒットメーカーだった。脚本家の故向田邦子さんと組んでTBSドラマ「時間ですよ」「寺内貫太郎一家」などを演出。銭湯を舞台にした「時間−」では茶の間に裸の女性を登場させ、スキャンダルを起こした俳優を起用するなどの奇策で話題づくりも巧みだった。高視聴率をマークして名物プロデューサーと呼ばれ、樹木希林、天地真理、浅田美代子、岸本加世子らを育てた。ドラマだけでなく、映画「夢一族・ザ・らいばる」を監督し、中村勘三郎主演の舞台「浅草パラダイス」なども演出した。
スキャンダルで騒がれたこともあった。79年当時、久世さんには妻子がいたが、「ムー一族」に出演中だった現夫人の朋子さんとの不倫を樹木希林が暴露。朋子さんが妊娠していたこともあって、久世さんはTBSを退社。その後、テレビ番組制作会社「カノックス」を設立した。
一方、名文家としても知られた。「一九三四年冬−乱歩」が山本周五郎賞を受賞。俳優森繁久弥の言葉をもとにしたコラム「大遺言書」を週刊新潮に連載中だった。新潮社によると、2月28日に来週号の原稿を受け取っていたが、その後については未定だという。
◆久世光彦(くぜ・てるひこ)
本名同じ。1935年(昭和10年)4月19日、東京・阿佐ケ谷生まれ。東大文学部美学美術史学科卒業後、60年にTBS入社。79年の退社後は沢田研二主演「源氏物語」、ビートたけし主演「刑事ヨロシク」などを手がけ、最後のドラマは05年「夏目家の食卓」。98年に紫綬褒章を受章。
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